茶の道具は、ほかの道具との取り合せの中で調和のとれるものが必要とされます。竹細工の場合、素材の良さがすべてです。まず自然にできた竹の表情を見出し、それを道具として生かしきることが私の仕事だと思っています。
お家元にある覚々斎宗匠の掛物に、竹の画賛があります。
「(そちらの)里本はよい竹の多いところですから、ぜひこのような竹をひと節、探してみてください。」
という詞書きと共に、節を二つ持つ豪快な竹の画が見本として描かれ、歌が添えられています。
もしあらば 花生にせん くれ竹の
千代のふるみち わけ入りてみよ
「千代の古道」とは、北野天満宮辺りから嵯峨野へと抜ける道のことのようで、今でも竹林の多いところです。
私も、求める方の目にかなう竹を探して、竹の心と向き合い、力を尽くしたいと思っています。
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