過日私どもでエアラインを立ち上げ、金沢に就航させたが、これを利用して食品会社の会長をしているG君達と日本海の美味しい物を食べに出かけた時、大聖寺の骨董屋で九谷焼の桃の形をした平ぐいのみを見つけた。
もとは向付として使われた物であろうが、吉田屋独特の深緑色もよく、大いに気に入って手に入れ、大事に持ち歩いていた。ところが、金沢に戻り食事になった時、数奇者でもあるG君が、鈴木さん進水式をやらなきゃと言いだし、軍艦マーチもくすだま割りも無かったが、早速このぐいのみを古ぼけた箱から取り出し、店の女将にきれいに洗って貰い、美味い酒を入れてまず乾杯、後は3人で酌み交わし、最後は薄茶で締めて、めでたく進水式は終了、この可愛いぐいのみの、新しいオーナーの下での門出を祝ったのであった。
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