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茶の湯とお酒の関係、特に茶事には日本酒が欠かせないものです。懐石料理の八寸が出される頃、亭主が盃台と銚子を持ち出してお酒をすすめます。千鳥の盃という言葉がありますが、亭主・客が千鳥がけのようにお酒を酌み交わすことで、場を和ませる。お酒は潤滑油のような役割を果たしています。
さて、而妙斎宗匠が襲名される折、堀内家とのお話の中で、宗匠のお好みの抹茶が発売されるという話題になり、「お道具やお抹茶には好みがございますが、お酒にもお好みがあればおもしろい趣向になるのでは…」と私が申しましたところ、それなら、「一度お家元にお伺いしてはどうか」という事になりました。しばらくいたしまして、お許しをいただいたと先代が、喜んで帰ってきたことを今でもよく覚えております。当初はお好みとしてのお話でしたが、それではお家元がお酒飲みのイメージになってしまうと、心配される方がおられ、御銘をいただく運びとなりました。御銘につきましては昭和55年にお家元の襲名記念の『十職展』の『お好みもの』が松を主題とされた事もあり、『松の翠』の銘を頂戴いたしました。
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