 |
貴重な色々な器と、盛り付ける食材の出会いを、お家元に指示され相談させて頂いて、盛り付ける器にあう季節の食材、盛り付ける色彩を考えるなど、献立を立てる喜びを茶事のたびにかみしめています。
「吸物が おいしすぎるぞ カッパ殿」
これは先代お家元・即中斎宗匠が社中さんの稽古茶事の時に、席中より台所の父のもとへ託された懐紙の伝文でした。「カッパ」とは宗匠より父が頂いた愛称です。私は文中の意味が解らなかったので父に聞きますと「吸物とは箸洗いのことで、箸の先と口を清め、次に出る八寸にそなえて気分をあらためるという意味があり、あっさりとした味が良いとされている」という事でした。その時まで、吸物の出しは、煮物の出し同様、昆布と削り鰹で仕立てていましたが、以後、吸物は昆布出しを使っています。
また、社中さんの点心(縁高料理)の時に、お家元・而妙斎宗匠から「煮物の汁があっさりしすぎている」との注意を受けました。それは懐石の時の味と点心の時の味を区別するようにと受けとめました。懐石の味付けは、後の濃茶をおいしく頂くために少し味をひかえます。また点心の時は懐石の時より少し濃い目に味付けするよう心がけています。
懐石の基本(一汁二菜、一汁三菜、また四季折々の食材、新鮮な材料を用いること)は、時流に流されず変わらないよう守っていきたいものです。 |
 |
|
 |
 |
家元還暦祝茶事 懐石の準備風景
(平成11年2月)
|
|