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京都は大火に幾度も見舞われました。樂家も一番近い大火は嘉永7年(1854)、土蔵二棟を残して全焼しました。ですから「麁閑亭」も創建は元禄ですが、今の建物は嘉永7年の翌年の再建です。それでも160年余りを経過しています。 露地にはその間何種類もの苔が重なるように生え、古い苔の上に新しい苔が息づき、今では飛び石の高さ近くまで地面が上がってしまいました。飛び石を据え替えなくてはなりませんが、余りにも苔が美しく、飛び石をいじる決心がつきません。 紅葉の落葉は勿論、それ以上に二枚羽の種子の庭一面に落ちる頃は一番大変、当代と共に一枚ずつ這い蹲って手で拾います。無心になる。当代と私は普段でもそう口数多くはありませんが、庭掃除も黙々と落ち葉や種子を拾います。それはとても佳い時間、茶事を催す楽しみの一つでもあります。 「お道具は買えるけれど、このお庭は毎日の精進がなければできない庭なのよ」とある方がお連れに話されているのを耳に致しました。なにより嬉しいことです。
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