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昭和25年頃 左:永樂紘一(而全)氏 右:真神仁宏氏 |
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令和3年、息子の陽一に代を譲り、隠居して而全(じぜん)を名乗るようになってから1年余りがたちましたが、仕事のうえでは大きな変化はありません。ただ、私に代替わりした時と同様、わが家は当代の善五郎(陽一)を中心としてまわるようになり、これが家督を譲ることなのだと、実感しております。
代を譲ることは、随分前から漠然と考えてはおりました。というのも、戸籍を変えなければなりませんし、新たな当主の「永樂」の印を用意する必要があるからです。それで、息子には2年ほど前から話をしておりました。作品に押す印は、代替わりの時にはできていなければならないので、早くから準備をしなければなりません。
代々、「永樂」の印の文字は、お寺の管長さんやご縁のある三井家のご当主に書いていただいたこともあったようです。私は、幼なじみで、同級生でもある正伝永源院の真神和尚さんが書道をされていることもあり、中国の漢時代の石文のなかから「永樂」の文字を選んで書いていただきました。それを篆刻師に彫ってもらい、その判をもとに「永樂」の印をつくりました。この判は作品の土にも押すので、彫りの深さなどの微調整を繰り返し、完成までは早く見積もっても半年はかかります。
すべてが整ったところで、お家元に私の隠居、息子の襲名のご挨拶に伺いました。
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