
茶の湯の道具にはいろいろなものがあるが、私の場合、父が無類のやきもの好きだったこともあって、とりわけ茶陶に関心がいくようである。
なかでも私が好きなやきものが古唐津である。
古唐津と一口に言っても、奥高麗、絵唐津、斑唐津、朝鮮唐津、三島唐津、黒唐津などいろいろと種類があるが、その中でも白く発色した藁灰釉と鉄釉を掛け分けたものを、どういうわけか朝鮮唐津と呼んでいる。呼び名からして朝鮮のやきものにこのような装飾があるかというと、そうではないようで、唐津焼独自の装飾である。
この朝鮮唐津の水指は白と黒のコントラスト、それに予期しない釉薬の動きが見所で、今にも流れ出しそうな〝偶然の面白さ〟が持ち味である。もともとは日常雑器の壷だったと思うが、我が家では水指に見立てて使っていた。
|
|
 田中丸 善司(たなかまる ぜんし)氏 |
(財)田中丸コレクション理事長
表千家同門会福岡県支部長
表千家九州茶道館館長
昭和6年
長崎県佐世保市に生まれる
昭和28年
慶応義塾大学法学部政治科を卒業
平成7年
(財)不審菴理事に就任
平成24年
3月8日にご逝去されました
|
(財)田中丸コレクションのこと |
|