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「嘯月」が最初に店を出したのは御池通に面した場所で、当初は職人さんも15人から20人ほどいた大きな店でした。それが御池通りの拡幅工事で両替町御池を下がったところに移り、それから今の紫野上柳町へ移って25年くらいになります。創業時から菓子は作り置きをせず、注文を受けた分しか作っていませんでしたが、戦後はほとんど家族だけでの経営となりました。私が店に入ったときは多くのご贔屓(ひいき)さんがあり、通い箱に菓子を入れて注文を取りにまわったものです。その頃は、菓子屋の菓子の特色というものがはっきりしていたので、今と違ってその菓子を見るだけでどこの店の流れを汲むものであるかわかったものです。
世の中の景気が良くなるにつれ、デパートにも多くの菓子屋が店を出し、全国区で名前を知られるようになりましたが、私のところは相変わらず注文のみで菓子を作っていました。それが、バブル期を迎えた頃にテレビの取材番組などで取り上げていただき、「嘯月」の名前も少しずつ知られるようになりました。今は、インターネットで見たというお客さんの注文が多くなりました。
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