表千家不審菴：静聴松風：露地の作事［上羽英男氏］

私の家は代々植木職人をしています。お家元へは碌々斎宗匠の頃、長左衛門がはいっておりまして明治39年にお家元で火災があり、祖堂と蔵を残して全て焼失した時には作事方として再建の手伝いをしていたとのことです。
その後、惺斎宗匠の頃には曾祖父の伊三郎がお家元で植木の仕事をしていました。
祖父長三郎が、即中斎宗匠の弟さんの汾陽（かわみなみ）さんの自宅の茶庭及び他の庭も作ったとも聞いています。上羽家と汾陽さんの家は裏でつながっておりまして、掃除など庭の管理を裏から出入りしていたと思います。
私が初めてお家元に入れさせてもらったのが高校一年生の夏休みの時に露地の掃除のアルバイトに来るように祖父から言われ、初めて入れさせてもらいました。
祖父から初めて露地へ案内され、美しく掃除するよう言われやり方を教えてもらいました。掃除を始めて、2時間位で出来たので祖父に言いに行くと見に来てくれて、ここもこっちも小さなゴミが有ると言われやり直し、その後その日の3時か4時頃までかかって掃除をしたのを今でも覚えています。
その後私は高校卒業後他の仕事につき、3年後の昭和51年4月からお家元で仕事を始めました。
4月にお家元に行った時には祖父は引退していませんでしたので、父伊一郎と叔父の慶三さんの2人にお家元での剪定（せんてい）のやり方、初釜等行事の事など色々教えてもらいました。