
また、以前、家で茶事をした折、中立ちで後座に客人を招き入れる際、銅鑼(どら)を打つかわりに笙(しょう)を奏じたことがあります。東儀家としての茶の湯と音の出会いを楽しんでいただく趣向だったのでしょう。
お茶のなかには、音楽ではないけれども音楽と同じくらいの価値をもつさまざまな音が存在します。釜の煮える松風の音、柄杓から茶碗に注がれる水音など、茶室の静けさのなかに感じとれる音は、感性を豊かにしてくれます。日本人のことばの文化がそうであるように、行間すなわち間や余韻を読んで想像力を互いに交差させることは、日本の文化においてとても大切なことだと思います。
雅楽を通して、あるいは茶の湯を通して、その向こうにある何か、日本人の本質とはなんだろうということに、思いを新たにしたいと思います。
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 東儀 秀樹(とうぎ ひでき)氏 |
雅楽師
昭和34年
東京に生まれる
昭和61年
宮内庁楽部の楽師となる
平成8年 アルバム『東儀秀樹』を発表
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東儀家のこと |
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