【大意】
乳離れして、八歳から(茶の湯を)習ってきたが、八十歳になっても、暗がりは闇である。
元伯宗旦が明暦3年(1657)、八十歳のときに描いた茶杓絵讃のことばです。讃の句頭の文字をつなぐと「チヤシヤク(茶杓)」となります。
この讃で注目すべきは「暗がりは闇」という部分です。「暗がり」は、辞書に「暗い所、くらやみ」とあり、「闇」と同じく光が見えないことを意味します。また「闇」は仏教で「迷い」の意味があります。したがって、この讃は、八歳から茶の湯を始めたが、八十歳になってもいまだに暗中模索の状態であるという、宗旦の心境をあらわしたものでしょう。
さらに、この讃とは別に「鸚鵡呼貧者与茶不能喫(鸚鵡、貧者を呼ぶ。茶を与うるも喫することあたわず)」という語が添えられています。