お家元の畳には、七回ほど藍(あい)をかけて染めあげた麻の「高宮縁(たかみやべり)」を使います。これは、利休さんが、藍は虫が付かないといって好まれたと伝えられており、表千家の畳は昔からこの「高宮縁」です。畳仕立の中で平刺し縫い、返し縫い、框(かまち)縫いと隅縫いとがありますが、このとき縁際の目が、ひと目きっちりに出るようにいたします。これを目乗りの畳といいます。お茶では、お道具の拝見をはじめ、目数が基準となることがたくさんありますから、目が肝心です。しかし、どんなお茶席でも多少の大小やゆがみがあり、全ての縁際を目乗りには出来ませんが、お道具を拝見する等、目乗りが重要な縁際は他の畳の寸法を変えてでも、目乗りにいたします。
また、お茶席をお持ちの先生から畳替えの注文をいただきますが、お茶事が迫っているときなど小間の畳替えをお断りすることがございます。意外に思われるでしょうが、狭い茶室に新しい畳を入れると、藺草のにおいがすべてに勝ってしまうのです。やはり数寄屋畳師は、お茶のことを一番に考えて、畳を納めなければいけないと思っております。
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