最近は町家でも畳の部屋が少なくなり、京都でも畳屋の軒数がだいぶ減ってしまいました。しかし、職人というものは、針を持って手を動かしていないと技術の向上は望めません。私は茶席の仕事を大事したいと思っていますが、手を動かしていないと技術は保てないのです。
最近、お家元の畳を仕上げている「四つ割り仕立」の技術を、業界全体で残していこうと全国の畳屋に呼びかけました。私は先代からこの技を習ったのですが、こうしたものは一人だけが知っていても残していくことは無理なのです。それで思い切って、この技術を外に教えることにしました。おかげさまで何人かの職人が応じてくれましたし、若い職人も興味を示してくれました。
時代に合わせた新しい畳文化を考案することも大切だと思います。しかし、私は、畳を畳として、その本来の良さをどのようにして伝えていくか、そこが畳文化を残すうえで重要だと思っております。
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