当時のお客様には、茶道三千家の御家元、殊に即中斎宗匠には、代を継承される以前から御引立てを頂いておりました。また、谷崎潤一郎、川端康成、吉川英治など文豪の先生方、堂本印象、福田平八郎など日本画の大家、市川右太衛門、大川橋蔵、市川雷藏さんなど映画スターのほかに、政・財界の皆々様と多彩なお顔ぶれで、序々に近隣の屋敷を求めて、店舗は拡大していきました。祖父の京料理は、もんもな(そのまんま)京料理と言われます。北大路魯山人さんも、そんな祖父の料理がお好きで、鯛の松皮煎餅が好物であったと聞いております。
昭和の京都で「京料理の神様」 と賞讃をいただいた祖父の思い出の一端です。
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