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さて、千利休の自筆の書はほとんどが書簡、消息(手紙)のたぐいでありますが、有馬家に代々伝わるものの一つに「半身達磨 自問自答」の書があります。これは歴史学者の故桑田忠親先生が他に例を見ない珍しいものである、と言っておられるもので、
半身達磨 休
絵ニかけル ワレコソわれよ古 (いにしえ)ノ 如何是
九年面壁
自答
返哥とて、遊ふへき叓(こと)のあら ハコソ
返哥せぬコソ返カ成介(け)れ
さて、この自問自答でありますが、利休の禅への理解の深さを知る資料としても貴重であります。利休の真筆はおよそ300通の書簡数ですが、その中では説教がましいことや、茶の湯の教えのようなものは、ほとんどといってよいほど見当たりません(桑田忠親著『定本千利休の書簡』)。そうした意味でこの書は利休が自らの参禅修行によって得た初祖達磨大師に対しての一着を披露したものとして、注目されるべきものであります。
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