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50年職家の当主として一番印象に残っているのは、やはり平成2年の利休居士四百年忌でしょう。このとき三千家のお家元のお好みものとして「利休梅ツボツボ蜀巴服紗」を作らせていただきました。三千家のお家元ご一緒のお好みものを作らせていただくというのは、本当にめったにないことで、身に余る、たいへんありがたいことでした。
記念のお好みものは、それを見てその時のことが分かるように作らなければなりません。利休居士の年忌は、三百五十年忌の折も服紗が記念品でしたので、それと重ならないように図案や裂を吟味いたしました。この服紗は、四百年忌の法要茶会に参列された方にお配りされましたから、桁違いの数を用意させていただきました。朝から晩まで、今までにしたことがないほど仕事をいたしましたし、息子にも手伝ってもらいました。お蔭をもちまして、この記念の服紗を今でも大切に使っているというお話を伺うたびに、意義のある大きなお仕事をさせていただいたのだと、嬉しく思い返します。
 
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