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桂離宮 古書院 (写真撮影 田畑みなお氏)
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待庵 にじり口から床を見る
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氷は儀式というより、暑さを嫌う貴族にたびたび提供されていたと想像されます。庶民は暑くなれば、裸になって、軒先の床机に腰掛け、夕涼みなどで、暑さをしのぐことが許されますが、貴族にはそうはいきません。従って住宅環境も書院の様に開放的で風通しのいい物が好まれます。逆に冬は寒くても、十二単に代表されるごとく、重ね着をして、火鉢などで暖を取ることは容易であります。庶民は経済的理由で十分な火を使う事も出来ません。むしろ寒さで命も脅かされかねません。そこで住宅環境に壁で囲われた閉鎖空間を選びました。草庵の小間茶室は壁で囲われた寒さを凌ぐ環境から生まれたのであります。貴族は書院の様に開放的な空間を撰びました。千利休自身恵まれた環境にありましたが、茶の湯にふさわしい空間として、自らの生活に根ざした庶民空間である壁に囲われたものとしたのです。これが草庵の茶室であります。
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