普通の石臼では、挽く対象物を入れる投入口は上臼の中心から少しはずれたところに有ります。中心部には下臼とつなぐ軸を受ける「軸受け」が有り、それにより円運動が行われます。それに対して茶臼は、中心部の茶葉を入れる孔と芯木の間に、広い隙間があります。そのため、上臼を回転させると、ある種のふらつきが起こり、その微妙な加減が茶葉を徐々に砕いて下臼へ送ります。このふらつきは、臼の中で茶葉を外へ送る動きを助けます。また、臼の中心部には「ふくみ」と呼ばれるわずかな隙間(1.0mmから0.5mm程度)が設けてあり、周縁部へ向かうにつれて狭くなっていきます。このように、芯木の太さ・溝の目立て調整など、繊細で微妙なバランスで成り立っている茶臼には、石臼以上の精密さと熟練を要することがおわかりいただけると思います。
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