先ず構造をみてみよう。千家の砂雪隠は、一間(けん)弱四方の小さな建物で、四方が引きずり壁で下地がつけられ、内部は白砂を敷き、五個の役石が配置されている。また隅には塵穴(ちりあな)が設置され、触杖(しょくじょう)が掛けてある。
とりわけ内部の土壁は時代の錆がついて、真っ黒になっている。古い時代の厠は、暗くすることが当たり前であったかのようだ。
片木戸を中に押して開くとすぐ足下に戸下(とした)の石があり、その向に大きな二つの長石が目に飛び込んでくる。手前を「前石」、奥側が「足掛石」という踏石である。
そして長石の間、前後に申し訳のように小さな石が据えられている。入口に近い石を「小用返し石」、奥に据えられた小石を「裏返し石」という。
なんだか、すべての石が仕事をしているようだ。
|