お家元宗匠のお茶事はもっとも大切な行事ですから、当日までに露地を整え、茶室の樋や垣を青竹に改めます。これは招かれたお客様へのいわばご馳走の一つなので、見場が良くないといけません。とりわけ残月亭の正面の樋は、差し渡しが2寸8分(直径約8.5㎝)ほどで、長さも竹1本で軒の端から端まで届かなければ、青色が目に鮮やかに映りません。こうした太い真竹も手に入りにくくなりました。それでも、ふさわしい青竹で整え、お客様に清々しさを感じてもらえるように工夫します。 また、年中行事では、利休忌や天然忌などで、前日までに大工と左官とでお客様用の通路として仮設の廊下や屋根の組み立てをします。天然忌は台風シーズンにあたりますから、準備の段階で組み立てたばかりの廊下や屋根が吹き飛ぶことのないように天気が良いことを祈るばかりでした。年末には小川通沿いの犬やらいを青竹にかえ、根引き松などの正月飾りを要所に奉納します。初釜では、作事方総出でお雑煮用の餅を焼いたりといったお手伝いもさせていただきました。
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