中国は茶の中心であるだけに茶の種類も非常にたくさんあります。中国茶というとウーロン茶を思い浮かべることが多いのですが、実はウーロン茶は福建省を中心とする地方茶にすぎません。中国茶の約4分の3は日本と同じ緑茶です。ただし、日本の緑茶は蒸して発酵をとめるのに対して、中国では直接釜で煎る方法をとるために、味と香りに違いが生じるのです。またウーロン茶や緑茶を素材にして、これにジャスミンのつぼみを加えて香りをつけたジャスミン茶が中国では非常に人気があります。また、祁門などでつくられる紅茶、四川省や湖南省でつくられる団茶、あるいはほとんど芽だけを摘んで仕上げた銀針白毫茶といわれる芽茶などたくさんの品種があり、各地の銘茶として人々に愛されています。ウーロン茶はなかば発酵させた独特の香りの茶です。 福建省では工夫茶といって、小さな急須と盃を少し大きくしたぐらいの茶碗をつかって、微妙なウーロン茶の香りと味わいをひきだす文人の茶があります。おそらくこの工夫茶の道具や点前は日本の煎茶道の成立に影響を与えたと思われます。
5
Copyright© 2005 OMOTESENKE Fushin'an Foundation. All Rights Reserved.