屋内の生活が快くなるにつれ、室町時代には連歌とか茶会、生花など室内芸能がさかんになりました。そして唐物と呼ばれ中国から渡来する美術工芸品を収集し、それらを室内に飾ることがたいへん流行しました。それで唐物を飾る場所が必要になったのです。 室内の壁に仏画を掛け、前机に三具足(香炉・花瓶・燭台)をおいて礼拝する風習がありました。やがてその構えを造り付けるようになりました。それが押板です。この押板がまず飾りの場所となりました。 僧侶は書斎に、机を張り出して明かりを取り入れた付書院をしつらえていました。また棚を設けて経巻や書物を収めていました。こうした付書院や棚も飾りの場所に役立ちました。 やがて主たる座敷には、押板、棚、付書院を設けて唐物を飾る座敷飾りの方式ができあがったのです。そして身分の高い人のすわる場所を一段高くする床(とこ)がつくられました。床の上に押板・棚・付書院を設け、座敷飾りをして、客を迎える生活形式、これにもとづいた住宅が書院造りです。平安時代の寝殿造りは、生活の改良を加えつつ書院造りに進展したのでした。書院造りの成立とともに、座敷の文化が生まれました。これが日本的な生活様式の基本となったのです。
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