12世紀の末、臨済宗の僧栄西は、禅宗を持ち帰るなかで、中国宋代の新しい茶の製造法と利用法を学んで中国から帰りました。その栄西がもたらした茶は、こんにちと非常によく似た緑茶の粉末を攪拌して飲む習慣でした。 建保2年(1214)、将軍源実朝が二日酔いで苦しんでいた時、栄西が茶を献じて、実朝の二日酔いがすっかり回復したということです。この話は『吾妻鏡』に記されていて、栄西はこの時、茶の効能を説いた書物も献上しました。これが『喫茶養生記』であると考えられています。ここには、茶が人間の内臓を強化して寿命を延ばす仙薬であると記されています。そこに記された薬用効果は、現在医学的に証明されたものも少なくありません。以後、茶は広く日本に普及し、喫茶の文化が定着することになります。
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