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利休居士は、それまでの茶の湯にはなかった新たな道具を取り入れました。長次郎につくらせた樂茶碗はその代表的なものといえるでしょう。黄瀬戸の立鼓(りゅうご)の花入は利休居士が道具屋の店先で見つけたもので、三千貫もの値打ちがある唐物の花入よりも面白いと語ったと伝えられます。
また利休居士が選んだ道具のなかには、もともと茶の湯の道具ではなかったものを「見立て」たものもあります。釣瓶(つるべ)の水指はその一つです。釣瓶は当時、井戸の水を汲み上げる時に用いる身近な生活用具でした。秋に収穫され、さまざまな大きさや形の容器として用いられた瓢(ふくべ)を切って花入にもしています。誰もが容易に手に入れることのできる竹で花入や茶杓も作りました。
利休居士は自らの眼で見て、わびの心にかなった道具を茶の湯に取り入れたのです。随流斎はこうした利休居士の眼差しに、目利の本質を見ていたのではないでしょうか。
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