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奈良は利休が慕った珠光ゆかりの地でもあります。表千家には随流斎が珠光の心の文を写した掛物も伝わっています。随流斎も利休に大きな影響を与えた珠光を慕い、奈良でつちかわれてきた茶の湯におもいを馳せていたことがうかがえます。 また、奈良といえば、現存する最古の茶会記を残したことでも知られる塗師の松屋家があります。その『松屋会記』は茶道成立期のようすを知るうえでとても貴重な史料です。 松屋は、「松屋肩衝(かたつき)茶入」「徐熈(じょき)筆鷺の絵」「存星盆」のいわゆる松屋三名物を所持していました。なかでも鷺の絵は利休がわびの掛物としてたいへんほめたと伝えられます。随流斎も『随流斎延紙ノ書』に「一、松屋鷺絵、肩衝茶入名物、鷺絵ジヨキ筆、印なし、珠光所持」として、鷺の絵の特徴を記しています。随流斎も奈良に赴いて松屋の三名物を見たのでしょう。
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