利休も一畳半の茶室をつくりましたが、そこには床がありました。しかし、宗旦は床なしの一畳半にすることによって、利休のわびをさらに深め、宗旦自身の究極のわびを表現したのでしょう。
江岑宗左が書きとめた茶会記には、宗旦の茶会が13回ほど記録されています。このうち11回は掛物が用いられ、1回は掛物の記載がありません。そして残る1回は「墨跡　花　なし」とあって、はじめから掛物と花を省略したことがわかります。宗旦は実際の茶会においても、掛物と花を用いない茶の湯をおこなっていたのです。