【大意】
また、四畳半の茶室を建て、もはや壁をぬるばかりになりました。いかにもそそうに建てました。
元伯宗旦は、正保元年(1644)2月3日付で息子の江岑宗左に宛てた手紙に、四畳半の茶室を建てたことを伝えています。茶室はだいぶできあがり、あとは壁をぬるだけになったとあります。興味深いのは、いかにも「そそう」に建てたと言っていることです。「そそう」は「粗相」「麁相」などと書き、「粗末、粗略」であることを意味し、飾らない素地のままの姿をいいます。利休の高弟、山上宗二が著した『山上宗二記』にも、茶の湯者の心構えとしてこの言葉が見え、表面は「そそう」でありながらも、内面は几帳面であることが求められています。
宗旦が建てた四畳半の茶室は、つつましやかで目立つところがないものだったのでしょう。それはまさに宗旦のわびの美意識を表現した茶室でした。