【大意】
近頃の私は、ゆふが鋳させた釜、京焼の芋頭の水指、尺八の花入、墨跡は掛けずに、面桶(めんつう)の建水や竹の蓋置で茶の湯をしています。
慶安2年(1649)11月10日付の手紙に見えることばです。宛名はありませんが、江岑宛と見てよいでしょう。この手紙で宗旦は、最近どのような道具で茶の湯をおこなっているのかを記しています。
まず、「ゆふいさせたる釜」とあります。「ゆふ(ゆう)」は人の名と思われますが、どのような人物かはわかりません。したがって、この釜については疑問としておきます。水指は京焼の芋頭。芋頭は形が里芋に似ているところから付いた呼び名です。京焼といえば、仁清の御室焼のような色鮮やかで優美なものを思い浮かべますが、当時は、京都で焼かれた焼物全般をさしたといわれます。
花入の尺八と蓋置は竹で、面桶は、杉や檜などの木地を曲げてつくった建水です。