世界の喫茶文化
茶の湯の伝統
利休の茶の湯とその流れ
茶室と露地
形とふるまい
茶の湯の道具
茶の湯の楽しみ
静聴松風
茶人のことば
村田珠光「心の文」
武野紹鴎『山上宗二記』より
千利休『逢源斎書』より
千道安「茶の湯道歌」より
千宗旦「元伯宗旦文書」より
その1 その6 その11
その2 その7 その12
その3 その8 その13
その4 その9 その14
その5 その10 その15
千宗旦「茶杓絵讃」より
江岑宗左「江岑宗左茶書」より
千少庵 「少庵の事績 京都と会津」
随流斎『随流斎延紙ノ書』より
表千家の茶事
内弟子「玄関」の一年
茶の湯の歳時
茶の湯の菓子
茶室への誘い
利休をたずねる
花所望
ところで、表千家不審菴に伝わる『茶湯逸話集』という茶書には次のような話があります。宗旦が、露地の隣に大きな椋(むく)の木がある家へ茶の湯に招かれました。昨夜の風で落葉が露地にほどよく散っているだろうとその風情を楽しみにして出かけたところ、亭主は落葉をきれいに掃き取っていたので、宗旦は機嫌が悪くなり、露地はめったに掃くものではないと語ったといいます。宗旦は椋の落葉が散った、ひなびた山里の風情を感じさせるような露地を楽しみにしていたのでしょう。 この話から、宗旦は、風に吹かれて散った落葉はそのままにしておく、自然な露地の雰囲気を理想としていたことがわかります。 では、宗旦はどのように露地を掃除していたのでしょうか。利休は、露地は朝の客には前の夜に掃き、あとはそのままにしておくのがよいと語っていますから、おそらく宗旦もそれに習ったのでしょう。そこには、利休の美意識が受け継がれ、宗旦の茶の湯のなかに生かされていたことがうかがえます。
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