読み下しにしてみましょう。
「第一、朝夕寄合いの間なりとも、道具の開き、または口切りの儀は申すに及ばず、常の茶湯なりとも、路地へはいるから立つまで、一期に一度の参会の様に、亭主をしっして威づべきとなり」。
大意は「日頃のつきあいがある人であっても、新しい道具を披露する茶会や口切りの茶会(などの改まった茶会)は言うに及ばず、常の茶会であっても、露地を入ってから茶室を出るまで、一期に一度のように亭主に深く心をそそいで、恐れ入るべきでである」となるでしょうか。
「一期」は「一生」という意味です。どのような茶会であっても、一生に一度のつもりで、客は亭主のもてなしの心に敬意を表し、それに精一杯、応えるべきである、と利休は言いました。たとえ何度、同じ亭主と客が茶会で交わることがあっても、その一会は二度とない一会です。だからこそ、利休は亭主と客の直心の交わりを求めたのでしょう。
幕末の大名茶人井伊直弼は、利休の茶の精神に回帰するなかで「一期一会」ということばを用いました。そして利休の茶の理念は今日に継承されています。
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