【大意】
表具の寸法と仕方は、大切である。寸法は肝要である。取合せも同じく肝要である。
江岑は、掛物の表具は寸法と裂(きれ)の取合せが大切であると言い、続けて次のように記しています。
「昔(利休の時代)は寸法を大切にしたが、今(江岑の時代)では裂の取合せばかりに気持ちを奪われて、寸法は表具師まかせにしている。表具を好むことは茶の湯の巧者でなければできないのに、今では誰も好んでいる」
江岑は、表具の裂の取合せばかりに関心が向けられるようになった風潮に対し、寸法の大切さを述べています。
ここでいう表具の寸法とは、文字や絵が書かれた「本紙」をとりまく「中廻し(ちゅうまわし)」、中廻しの上と下の「上」(「天」)、「下」(「地」)、本紙の上と下に添える「一文字」や「上」(「天」)の横幅を三等分した位置に下げる「風帯」などの寸法のことです。